金庫の基礎知識
自分の、家族の、職場の大切なものを守るために、まず正しい金庫の知識を得ることから始めましょう。
金庫について
金庫は大きく2つのタイプに分けられます。1つは主に火災対策としての「耐火金庫」。もう1つは、主に盗難の防止を目的とした「防盗金庫」です。一般家庭などでは、主に耐火金庫が使われています。また、耐火性能はありませんが、貴重品や大切な資料などを保管できる保管庫などもございます。用途に応じてお選びください。
耐火金庫

耐火金庫は、主に火災対策として使われ、ビル火災、地震の衝撃や二次災害の火災など、あらゆるケースの火災を想定してつくられています。日セフ連(日本セーフ・ファニチュア協同組合連合会)では、JIS(日本工業規格)に基づき0.5〜4時間にわたる耐火試験などの基準を設けて確かな品質を提供しています。また、工具を使った「扉のこじ開けなどの破壊行為」に対する一定に防盗基準(TS-15)を設定し、認定しています。
標準加熱試験※徐々に広がる火災を想定
試験方法
金庫を炉内に入れ、JISが定める標準温度曲線に従って規定時間加熱し、加熱終了後は、炉内で自然放冷する。
合格基準
一般紙用の場合、庫内の最高温度が177°C以下であり、庫内に入れた新聞紙が判読可能であること。
急加熱・衝撃落下併用試験※急激な発火による温度上昇や、爆発による衝撃を想定
試験方法
急加熱を行った後、加熱炉から金庫を出し、9.1mの高さより落下させる。再度、加熱炉に入れ、規定時間加熱する。加熱終了後は過熱炉内で自然放冷する。
合格基準
試験体に破裂がなく、施錠状態を維持していること。また、金庫内に入れた新聞紙が判読可能である。
防盗金庫

防盗金庫は、主に盗難の防止を目的としてつくられています。そのため一定の耐火性能に加え、防盗性能が強化されています。日セフ連(日本セーフ・ファニチュア協同組合連合会)では、ドリルやハンマーなどの工具による破壊行為や、バーナーによるガス熔断に耐えられるかをテストして、ランク分けをしています。(耐火性能のない「防盗庫」もあります。)
耐溶断・耐工具試験(TR・TL)
ガス溶断機、電動工具などによる大掛かりな破壊行為を想定した試験。
耐工具試験(TL)
電動工具、簡易な手動工具による破壊行為を想定した試験。
試験方法
事前に提出した図面をもとに弱点を検討し準備の上で、規定の工具を使い、次の3 種類の破壊試験を行う。
- A 系列:施錠機構への攻撃
- B 系列:扉及びカンヌキへの攻撃(扉こじ開け)
- C 系列:侵入口を空ける(φ100mm)
合格基準
侵入口の開口を防ぎ、全ての試験が実施時間以上経過した場合。
耐工具試験(TS15)
JIS S 1037で耐火金庫に適用する耐破壊性能でバールを中心にした破壊試験。
試験方法
2系列(施錠装置への攻撃、扉をこじ開ける試み及びカンヌキを開放する試み)の試験を特定の工具により15分間行う。
合格基準
侵入口の開口を防ぎ、全ての試験が実施時間以上経過した場合。
JIS認証

第三者機関(登録認証機関)による客観的な審査・評価試験を行い、製品に対する性能・品質の信頼向上を目的としたJIS 認証取得制度によって、JISマークの表示を受けた製品です。 以前は「国又は国の指定した者」が工場、事業所を認定することにより、製品のJISへの適合を表明する、適合性評価制度でしたが、生産技術の進歩、使用者・消費者ニーズの多様化、製品認証制度に関する国際ガイドの策定と各国における整合化の動きを踏まえ、国の関与を必要最低限とした新しいJISマーク制度が施行されました。また、データ・サービス等への標準化の対象拡大、JISの制定等の迅速化、JISマークの信頼性確保のための罰則強化、民間の国際標準化活動の促進を行い、2019年7月1日より「工業標準化法」は「産業標準化法」に、「日本工業規格(JIS)」は「日本産業規格(JIS)」に変わりました。
関連ページ:ISOに基づく製品審査合格品 JIS認証金庫
金庫の収納物
金庫の種類や性能、また収納する物の素材や性質などをよくお調べいただいた上でお客様に適した金庫をお選びください。下記表以外にも各種メディア保管用の防水・耐水の保管庫もご用意しております。
収納物によって金庫をお選びください。
(○:収納に適する物 △:収納に注意を要する物 ×:収納に適さない物)
一般用紙 書籍 印刷物 など |
フロッピー ビデオテープ CD フィルム類 磁気テープ 磁気カード |
真珠 ひすい エメラルド オパール 半貴石 など |
書 絵画 掛け軸 骨董品 高価な装飾品 など |
多額の現金 小切手 宝石類 貴金属 など 盗まれたくないもの |
|
---|---|---|---|---|---|
防盗金庫 | ○ | × | × | × | ○ |
一般紙用 耐火金庫+TS15 | ○ | × | × | × | △ |
一般紙用 耐火金庫 | ○ | × | × | × | × |
データセーフ金庫 | ○ | ○ | △ | △ | × |
注意 | 庫内は、一般紙が燃えないように177度以下に保たれます。 | 磁気で記録された情報は、52度〜65度以下でも蒸気にさらされると磁性体が消えてしまいます。データセーフをご使用ください。 | 火災時の高熱で変色・変質・ひび割れなどが生じることがあります。宝石類の耐熱温度については、お買い求めの宝石店にお尋ねください。 | 高価な装飾品、細工物は保管状態に敏感です。著しく変色、変形し剥脱するなど価値を失う恐れがあります。金庫室など部屋ごと管理する場合を除く。 | 夜間・休日の不在時に、工具等による金庫破りなど盗難に遇う恐れがあります。防盗金庫をおすすめします。 |
用途に応じた金庫がたくさんあります。
データセーフ金庫
磁気メディアは60度前後でデータが破壊されますが、一般の耐火金庫では、庫内の温度を177度以下に抑える基準になっていますので、大切なデータを焼失する恐れがあります。 データセーフ金庫は、磁気メディアの敏感な保管条件に合わせ、庫内温度52度以下、湿度80%以下に抑えます。
耐火キャビネット
重要書類(各種法定文書、学籍簿など)を火災から守るキャビネットです。A4とB4の2つのサイズがあり、きちんとした書類整理ができます。ファイルしやすく、取り出しやすい引出式タイプです。
投入金庫
収納時に金庫の扉を開けることなく、現金などの収納物を上部の投入口から投入できる耐火金庫です。 営業中、時間外、夜間など管理者が不在の場合でも集金できます。管理業務の合理化が可能です。コンビニエンスストア、FCチェーン店など多数納入実績があります。
隠し金庫
人目に付かないような場所に隠すことを目的とした金庫、または隠してある金庫を言います。 「偽装金庫」「カモフラージュ金庫」など、一見して「金庫」と見えないようなものも『隠し金庫』の1つと言えます。
手提げ金庫
証明書、通帳、契約書、パスポートといった重要書類や、写真、手紙、かたみの品などの個人的財産を守ります。 場所を取らずどこにでも収納でき、移動も簡単です。 ※耐火性のある商品もあります。
ホテル客室用金庫
一般的な耐火金庫を複数台購入すると、その製品ごとに鍵を管理する必要があります。ホテル客室用金庫は、各製品に備え付けている鍵はそれぞれ違いますが、管理者が持つマスターキーですべての金庫の解錠を可能にしたものです。ホテルやペンション、旅館などの宿泊施設には最適の商品です。
貴重品保管庫
これからのパーソナルセキュリティ対策の必需品です。ファミリーユースにもオフィスユースにもフィットするサイズ。
学籍簿保管庫
国や各団体の定める「個人情報保護法」の発令や学校での「学校教育法施行規則」に伴い、個人情報の取り扱いには十分な注意を払う必要があります。「金庫屋」では、そうした個人情報保護法に適した保管金庫をおすすめし、個人情報取扱いの重要性を訴え続けています。
薬品保管庫
近時多発している薬物事件の防止のため薬品管理は徹底することが要求されています。薬品保管庫はしっかり薬品を守り、簡単に持ち出すことはできません。また、薬品を扱う工場などのISO対策には、薬品保管庫による厳しい管理体制が必要です。
組立金庫
組み立て式ですので、搬入口の狭い場所でも設置や施工後の移設が可能です。
金庫室
移設・増設を可能にしたパネルユニット式組立耐火室。軽量・組み立て式のため、施工後の移設、増設が可能です。
耐火金庫の耐用年数は製造後20年です
半永久的に使えると思われがちな金庫ですが、金庫には耐火性能に有効耐用年数があります。耐火材の発泡コンクリートに含まれる水分が少なくなり、耐火性能が低下するためです。日セフ連では、有効耐用年数の基準を製造後20年として、これを目安に買い換えやセキュリティの見直しをおすすめしています。いざという時のためにも、お使いになっている金庫の製造年数をお調べください。 ※電子部品や施錠機構の耐用年数は上記と異なります。